「適応障害、ADHDのグレーゾーンです」と診断されたロマンチッククリエイターの話

テトラポットに登っててっぺん先を睨んで、

宇宙に靴飛ばす気持ちってどんなかな。

 

家に帰るだけなのに、いつもなら一刻も早く帰ろうと早歩きするのに、

とぼとぼ歩きながらそんなことを思いながら新宿駅を歩く。

 

みんなどうやって生きてるんだろう。

 

みんなそんなことさえ思わないのかな、普通。

  

 

数日前、頭が重くて、仕事を進めないといけないのに思考することができなくなった。

 

風邪の症状もないのに、勇気を振り絞って会社の人に「病院に行かせてください。」って言った。

優しい声で「うん、行きなさい。」と言ってくれたので、適当に病院を検索して家を出た。

 

頭に網みたいな、最先端みたいな器具を取り付けられて脳波を調べてもらった。

 

そのあと心理カウンセラーの人と、話をした。

看護師をしていたけど勢いで海外へ行って、そのあとやりたかったOLの仕事をしてることとか、今の生活が回っていないこととか。

 

 

 

 

「適応障害ですね。抑うつ状態で、ADHDのグレーゾーンです。」とお医者さんが言った。

私に。

 

「あ〜そうなんですね。私ADHDのグレーゾーンなんですか。面白いですね。」

と言いながら、お医者さんの早口の説明を聞いた。

 

お医者さんも心理カウンセラーの人も優しかったけど、なんかビジネスチックな感じに思えてしまったので「治療は考えさせてください。」とだけ言って帰った。

 

これも東京かぁ。

 

 

ADHDの特性はあるとは思っていたけど、私もグレーゾーンなんだ。

 

 

心理カウンセラーの人は「いいですねぇ」って言ってくれたけど、「この人はADHDなんだろうな」と思って話聞いてたのかなぁと思ったら美人なお姉さんのこともちょっと恐くなってしまった。

 

真相は美人なお姉さんにしかわからないけど。

 

軽度ではあるものの、自分は「障害」というものを所持しているのかと思うと不思議な感覚だった。

 

「私は”普通”の人と違ったんだ。」

一瞬でそう思ってしまった自分が嫌になった。

差別なんてしているつもりは、1ミリもなかったのに。

 

 

勢いで行動できちゃうとこ、意外と好きだったんだけどなぁ。

私の長所が、「障害です」と言われた気がしてすごくショックだった。

 

 

 

家に帰って電話で会社の人に報告した。

「うんうんうん、そうか。まぁでも適応障害は精神科行ったら大体の人が診断されるからね。」

と言われて一瞬言葉が何も出てこなかった。

 

 

その後「無理しないで辛かったら言うんだよ。」と言われた。

辛いから勇気を振り絞って時間もらって病院に行ったし、勇気出して報告したけど、それ以外になんて言えばいいんだ??

と頭にはてなが浮かんだ。

 

もう早く電話を切って一人で泣きたかったから「大丈夫です。」と言って電話を終わらせた。

 

 

それまで我慢していた涙が溢れて止まらなかった。

 

冷静に考えられなくて、「死にたい」なんて言葉が頭に浮かんだ。

そんなことを思ってしまう自分は、自分にショックを受けた。

 

「死にたい」って検索したら自殺対策の電話相談が出てきた。

こんなレベルの私が電話していいものかなんて思いながらも、またどこからか勇気を引っ張ってきて、”いのちの電話”にかけてみた。

 

”ただいま回線が込み合っています。できるだけ初めての方に電話が繋がるようになっています。ただいま回線が込み合っ…プーップーップーッ”

電話が切れた。

 

私の心の糸も切れた。

 

 

「でも仕事しなきゃ。みんなに迷惑を掛けてしまう。」

号泣しながらとりあえず手を動かした。

心の糸が切れたって思ってるだけかな。

手は動かせるもんな。

簡単な作業なのにいつもの倍以上時間が掛かった。

 

 

でも私は恵まれている。

次の日仕事なのに、死にたくなってみた私の話を何時間も電話で聴いてくれる人がいた。

 

死にたくなってみたのに、幸せなのはどういう状況だろう。

 

私はどうやらまた、自分の人生にロマンチック創ってるらしい。

飽き生だけど、ロマンチックくらい生きてる間は創り続けたいな~

 

 

テトラポットないけど、宇宙に靴飛ばしてみようかな。